わたしのみだし

見出しだけでも読んでください

配送不可?柔らかすぎプリン

地獄。

ブログは書くのに時間がかかるので、しょーもないギャグを時間かけて作ってる気分になって投稿に至らないことが月に1回ある。投稿に至るのが月に1回ある。ブログを書かないのが月に28〜29回ある。


5月の初め、いつものように松屋に行った。僕は基本的に異常な時間に起きてしかも限界まで外出を渋るので、家に食べ物がないと朝ごはんを16時に食べるはめになる日がある。その日はそんないつもの異常な日だった。お前の「普通」を押し付けるなよ…?

松屋に入店するやいなや、店員さんが良く通る大きな声で「いらっしゃいませ」と言った。そのとき僕はイヤホンをつけており、実際に耳に届いたのは蚊の鳴くような挨拶だった。それでも聞こえるほどの声というだけでスゲーなと思ったし、フランス語ラップの向こうから日本語が聞こえたから、なんだか久しぶりに帰国したような気分になって、牛めしの付け合わせにキムチを奮発した。

僕が席に座るやいなや、すぐに食券を回収しに来て、水を置き、他の客の食器を下げ、厨房に戻っていった。その一連の所作はあまりにもきびきびとしている。彼なら柔らかすぎるプリンでも、波風立たせず運んでみせるだろう。何者だ?と思ってネームプレートを見た。

「サービスマイスター さとう」

オナニーマスター黒沢」と同じ構造…。それはさておき、その後もさとうさんの働きぶりを目で追いかけていたが、全くサービスマイスターの名に恥じないサービスっぷりであった。マイスターのさらなるサービスを、続いての「〜やいなや」でお見せしよう。*1

厨房から出てきて「お待たせいたしました」牛めしとキムチを僕の前に置くやいなや、さとうさんは、僕がすぐに取り出せるように箸の入った箱を開けてこちらに向けてくれた。や〜…これにはまいったね。やられました。はじめての気持ち…これが恋?ってね。サービスしすぎ。どうなってんだ。

しかし箸箱オープンはまだマイスター最後のサービスではなかった。興奮さめやらぬ中箸を取り、その箸を丼に入れるやいなや、特大のサービスが僕を襲う。そう、明らかに肉の量が多いのである。おいおい!お〜い!それは"禁忌"だろ!!めくってもめくっても肉が現れる。これはやりすぎだ。マイスターの称号ほしさに、この男は違法なサービスに手を出してしまっている。

もし本当に肉の量が多かったとしたら、おたま一杯分以上の肉を盛るサービスだとしたら、この松屋はあっという間に原価率が上がって赤字になってしまう。…まさか、松屋を潰すために他のチェーンから派遣された工作員か?いや、そんなはずはない。もし工作員だとしたら肉大盛り以外のサービスはしないで、むしろぶっきらぼうな態度で松屋のイメージダウンを狙うはずだ。いずれにせよ、彼を止めなければ…。

大好きな松屋だ。マイスターが違法サービスに手を染めていないと信じたい。「勘違いであってくれ」小さく呟く。その瞬間、僕の頭に一つの考えがよぎる。

ご飯の盛り方で肉の量が増えたように錯覚させることができるのかもしれない。まず丼に米を傾斜つけて盛り、その上に肉を平たく盛る。傾斜のついた米の低い方が客の手前側にくるように提供する。すると、丼の手前に箸を入れた瞬間、客には肉がいつもより多く感じられるというわけだ。

そうか、そうだったのか…。丼の奥の肉をめくる。…ビンゴ。霧は晴れ、輝くばかりの白米がこちらを見ていた。違法なサービスではない。店にも迷惑をかけない。客は喜ぶ。しかしルールにはない。これは間違いなくマイスター自身が編み出した究極のサービスだ。

僕が席を立つやいなや、「ありがとうございました!」僕はもうイヤホンを外していたから、マイスターの声を全ての耳で受け止め、店を出た…。


*1:このエントリで「やいなや」じゃないのは、僕の「起床してから外出するまで」のところだけ。